オフィス「和み」

ネットで「小学校教育」を支援・助言します。

学級開き
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1.出会いの前に

 子ども達と出会う前に、この1年間の教育スタイルを再考してほしいです。この教育スタイルこそが、今問われている教師力なのです。

 学級開きの心構えは、教師の人間性・教育スタイルに任せられています。ここでは、教師としての心構えの参考にして頂ければ幸いです。


 山下流としては、
「生徒指導の3機能」を生かす教育スタイルをお薦めします。また、脳科学の発達によっていろいろと解明された脳内活性物質を分泌させる簡単な方法なども加味し、子ども達を導くスタイルを貫徹してほしいと願っています。

 
(1)生徒指導の3機能とは?

 ①自己決定の場を用意する。
 ②存在感を与える。
 ③共感的関係で展開する。

 3つの配慮です。教師の一方的な「指示・命令」・「説明」では、脳からアドレナリンやドーパミンは分泌せず、やる気が高まらず、指示待ちの子ども達になってしまいます。「自分で考えたり、自他の価値を意識したり、一緒に取り組もう」という意識を育てなければ生きる力は育めません。


(2)脳内活性物質を分泌させるには?

 口角を上げるだけで脳内活性物質の分泌は促されます。USA陸上短距離選手であったフローレンス・ジョイナーはオリンピックの100mで優勝しました。ジョンナーはマニキュアをしていることでも有名でしたが、何よりも、走りながら微笑んでいるのです。その微笑みは口角を上げる(ドーパミンの分泌を促す)ためのものだったのです。

 学校生活で口角を上げるための「微笑み」は、どのような場面で発生するのでしょう。あまり難しく考えないで、次の2択から考えてください。

 A…怒られたとき。注意されたとき。汚されたとき。馬鹿にされたとき。…
 B…誉められたとき。感謝されたとき。上達したとき。認められたとき。…

 当然「B」です。つまり、「指示・命令・説明・指導・注意」では、モチベーションは上がってこない現実を理解してください。
 以前、M学校で子ども達が言われて嬉しい言葉をアンケートしました。そのベスト3が「ありがとう」「がんばたね・すごいね」「いしょにしよう」でした。これらの言葉を言われると、口角が上がると認定してもいいです。

 教室(学校の方がベストです)で、これらの言葉が交わされるには、担任教師は、どのような教育スタイルで望めば良いのでしょうか?


(3)わくわく感の必要性

 私が退職したS学校は新築したばかりで、ランチルームには「小さなステージ」がありました。私は3ヶ月間その学校で子ども達と生活を共にしたのですが、その間に「音楽コンサート」を開催しました。6年生男子がエレキギターを弾けたので、私と教務と男子の3人でバンドを組んで、披露することにしたのです。
 お昼休みの15分間のミニコンサートでした。お昼の校内放送で「コンサートの日時」を紹介しました。子ども達のわくわく感が私にも伝わってきました。新校舎のステージで、初めてのコンサート(6年生がギター、教務はドラム、私がサイドギター)ですから、子ども達はわくわくし感は高まっていきました。司会や歌は、数名の6年生女子が担当しました。

 また、体育館では「移動式のバスケットゴール」があり、少年団のミニバス選手対先生チームの試合も昼休みに行いました。観客は体育館の観覧席に座ってみていました。

 ちなみに、S小学校では「PTA役員」にサックス奏者がいるので、平成25年度もコンサートを実施しました。学校は「学習する場」です。「できないことができるようになる場」です。だからこそ、学校生活の中に子ども達の心をくすぐる「わくわく感」が必要なのです。

 わくわく感は、体育の7月単元の「水泳」もその一つになります。
・図工で「トントン・○○づくり」をします。
・国語で「インタビューして、知らせよう」の勉強します。
・算数で「九九の勉強」に入りますよ。
・理科は「ガスバーナーの使い方」を勉強しますよ。
・明日は遠足で「おやつ200円までOK」です。

 などなど、小学校生活では「いろいろなわくわく感」を持たせることができます。そんなわくわく感が持てる学級にするために、担任教師は一工夫することが求められます。


2.学級開き当日「出会い」

①一人一人の子に存在感を与える
 ・一人一人の名前を黒板にチョークで書いておく。手作り感は温かい。
 ・名前を呼んで、「1年間よろしくおねがいします」と言って握手をするのもいいですね。

②自己決定の場を用意する。
 ・5年生担任だったら、今日から「こう学年」ですね。この1年間どんな漢字の「こう」を当てはめて成長しますか?
 ※ 先生は「考える」の「孝」をお薦めします。動物と人間との違いは、「考えることができる」ということです。その時・その場で、最良な行動ができるように1年間頑張りましょう。
 
 ・6年生担任だったら、今日から「さいこう学年」ですね。卒業までの1年間どんな漢字で「さいこう」と書いて成長しますか?
 ※ 先生だっら「再考」という漢字を入れます。6年生は小学校のまとめの学年です。これまで学んできたことで本当にこれで良いのかと「再び考え」、その時・その場で最良の言動ができるように感張りましょう。

 ・どの学年でも、
最初に自己紹介をします。自分の名前を言った後に、みんなに「一番知ってほしいこと」を短く伝えてください。たくさん時間がとれないので、前もって考えておいてくださいね。


③共感的関係で展開する
 ・どの学年でも、
「自分に命令するには、誰ですか?」

 3択です。「お家の人(お父さんやお母さん)」・「先生」・「自分」の3つから考えてください。
※手を挙げさせる前に、「全員起立」させ、「決めた人から座りましょう」と、投げかける。一人一人を大切なするためには全員でなければならないからです。

 私の経験では、ほぼ全員が「自分」と答えます。ですが時々「お家の人」や「先生」に手を挙げる子がいるのですが、「なぜ、それに手を挙げたの?」とたずね、子ども達の考えを聴いてください。
 ※ 先生も「自分」だと思います。誰かに「宿題しなさい」と命令されても、自分自身が宿題をしなければ宿題をしたことにはなりませんね。「手を挙げて」と先生が言っても、君たち一人一人が自分の意思で手を挙げようとしなければ、手は上がりませね。
 今日初めて君たちと出会ったけれど、今(4月当初)の自分は、自分に命令できる人になれていますか? 4択「◎・○・△・×」で答えてください。
4月当初の「人数」をカレンダー等に残し、子ども達の成長の証としたらいかがでしょうか?


3.許してはいけないこと

 日々の学校生活でわくわく感を持ちながら、微笑み合うことは重要です。ですが、そんな簡単に「微笑み合える人間関係」は成立しません。そこで大切になってくるのが、「一貫した教師の言動」です。
 教師の「逆鱗に触れる」子ども達の言動は様々にありますが、私は次のような言動は「許しはいけない」と考えています。厳しく指導します。言い聞かせます。

 ①発言を聴かない。
 ※自分が大切にされたかったら、相手も大切にしなさい。大切にすることは「話を聴く」ことから始まります。話を聴かないことは大切にしていないことです。

 ②間違い(発言も含め)を笑う。
 ③できないことを責めたり、馬鹿にしたりする。
 ※分からないから、できないから、知らないから、学校で勉強するのですね。だから、間違っても、できなくても、失敗しても、笑ったり馬鹿にしたりするのは失礼です。

 教室の一人一人が、その存在を大切にされ、考えたり行動したりする時間を確保され、教師といっしょに取り組む学級づくりのために、「逆鱗」が存在すると私は考えます。教師の体調や気分によって、逆鱗の基準が変化することは子ども達の価値観を育てるためによくありません。

 もちろん、いじめや差別につながる言動も許しませんが、教師は絶対に体罰だけはいけません。「自分に命令するのは、自分」と理解した子ども達ですから、体罰の必要はないはずです。



4.信頼関係の構築

 教育は人となり! 教育は人なり! と言われます。教師という「人」が子どもという「人」を教え・導くのですから、一番大切なのは「人間関係」です。教室内の子ども達と教師の信頼関係が構築できたのならば、教育の半分以上は成功したと言って良いでしょう。

 ・先生は厳しいけれど、僕たち・私達の成長を思って、言ってくれる。
 ・先生があんなに怒ったのは、これからの僕たち・私達が道を間違えないように願っているからだ。

 このような心が子ども達に芽生えさせるためには、教師からの日々の関わりや導きが必要です。そのめには、「何のために、怒っているのか」「どうして、怒られているのか」を子ども達の心に伝えなければなりません。子ども達の心へ伝えるために大声になったり、机を叩いたりするまでは許されると思っています。

 説明がないと「先生に怒られた」「先生厳しい」と、子ども達に思わるだけでは教育効果は望めません。「怒られるからする。怖いからする。」という心ではなく、「正しいからする。成長するためにする。」の意識を育てることが、信頼関係なのです。

 「教師は太陽のごとく、一人一人の子ども達に公平に光を注ぐ」存在でなければなりません。教室の誰にとってもです。また、「苦あれば、楽あり」「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」など、子ども達が「頑張ろう」とか、「あきら
めちゃいけない」などの気持ちを持てる「諺・フレーズ・話」を、いろいろな場面で諭せる力量も持っていてほしいです。

 そうそう、「もう学校に来なくてもいい。」と言う言葉は、そう言っても「学校に来る」と自信があるから使えるのですよ。



5.まず、教師が楽しむ

 
 学級開きは、どんな教師であっても緊張する時間です。新しい出会いですから緊張するのは当たり前です。そんな時、準備をしてある教師は「心に余裕」が生じます。余裕があると、子ども達の一人一人の顔を見られます。そして、微笑むことができます。教師の微笑みが子ども達のわくわく感を高めることにつながります。

 「前もって、準備する」ことが「教材研究」です。教材研究(シュミレーションや予備実験も含め)が、教師の余裕を生み、子ども達に波及します。ですから、まず教師が、「次することが楽しみ」になることが重要なポイントです。教師が「わくわく感」を持てるように準備してください。

 出会った子ども達も緊張しています。

・「どんな先生なのだろろう」
・「新しい友達ができるかな」
・「楽しく学校に来たいな」
・「いやなこと言われるかな」
 などなど、子ども達はいろいろな不安を抱えています。その不安が解消されると、ようやく本領を発揮することになります。
 
 子ども達に不満があると、「本領発揮」ではなく、「本性を表す」ことになります。不安だけではなく、不満の把握・解消も必要事項です。そして、何よりも大切にしてほしいのは、
今日の充実感と、明日への希望・期待です。

今日の充実感は、帰りの会・終わりの会などで、「感謝したい人コーナー」を設定し、拍手を贈ることで成立します。「懺悔コーナー」も設定することも有効です。
明日への期待や希望は、わくわく感につながります。学習係が予定を言うとき、教師がフォローしながら「明日も楽しみ」という雰囲気を気もし出してください。教師の力量にかかってきます。

 人間は感情の動物です。日々の心の持ちようが大切です。これから始める1年間が成長の日々になるよう願っています。 頑張ってください!


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