オフィス「和み」

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言語活動の重視
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 下巻になって、「説明文(読む)」単元の後に続けて「書く」単元がある場合、ゴールの言語活動を「書く」ことに設定した合体単元を構成する場合があります。

 そもそも「言語活動の重視」「単元を貫く言語活動」は、なぜ必要なのでしょうか?

 文部科学省ホームベージから読み取ったことを載せてあります。今後の国語学習の考え方として参考になれば幸いです。

  
 新学習指導要領・生きる力 第3章 言語活動を充実させる指導と事例((3)を除く)には、次のように記されています。
  
文部科学省「言語活動の重視」
 

 2)教科等の特質を踏まえた指導の充実及び留意点

  言語活動については,国語科で培った能力を基本に,すべての教科等において充実する必要がある。その際,各教科等の特質を踏まえつつ国語科との関連を図りながら,言語活動の考え方や諸点に留意して取り組むことが必要である。

<国語>

  「話すこと・聞くこと」,「書くこと」及び「読むこと」の各領域では,日常生活に必要とされる記録,説明,報告,紹介,感想,討論などの言語活動を行う能力を確実に身に付けることができるよう,継続的に指導することとし,課題に応じて必要な文章や資料等を取り上げ,基礎的・基本的な知識・技能を活用し,相互に思考を深めたりまとめたりしながら解決していく能力の育成を重視する。

○平成20年答申の国語科改訂の趣旨に示す
「実生活で生きてはたらき,各教科等の学習の基本ともなる国語の能力を身に付けること」を一層重視して国語科の授業改善を図ることが求められる。

○そのためには,学習指導要領の内容の(2)に示す言語活動例を基に,
具体的な言語活動を通して指導事項を指導することが大切である。その際,「ここで音読する」「ここで話し合う」といったばらばらの活動ではなく,児童が自ら学び,課題を解決していくための学習過程を明確化し,単元を貫く言語活動を位置付けることが必要である。

○このような単元構想を進めるためには,年間指導計画と児童の実態とを踏まえて,

【1】当該単元で重点的に指導すべき指導事項を確定する,
【2】その指導事項を指導するのにふさわしい言語活動を選定する,
【3】言語活動を位置付けることで育成すべき国語の能力の一層の明確化・  具体化を図る,
【4】それら育成すべき能力を身に付けるための指導過程を構築する,といっ  た手順で考えていくことが有効である。

特に「C読むこと」においては,指導事項に示す読むことの内容を児童に確実に身に付けるため,無目的に場面ごと,段落ごとに平板に読み取らせる指導を改善することが求められる。
すなわち,

①児童自身にとっての読む目的を明確にして本や文章を選んだり,
②目的に応じて内容を的確にとらえたり,
③自分の考えをまとめて交流したりするなど,


児童に必要な読む能力を調和的に育成することが重要である。また、そのためにも,
言語活動例を具体化し,授業における読書活動を一層充実していくことが重要である。

○そのための基盤として,シリーズで読む,好きな作品を見付けて読む,目的に応じて本や文章を比べて読むといったことが可能となるよう,学校図書館の充実や地域の図書館との連携が求められる。

○なお,内容の(2)に示す言語活動例は例示であるため,これらのすべてを行わなければならないものではなく,それ以外の言語活動を取り上げることも考えられる。

 

 単元を貫く言語活動は

「ここで音読する」「ここで話し合う」といったばらばらの活動ではなく,児童が自ら学び,課題を解決していくための学習過程を明確化し,単元を貫く言語活動を位置付けることが必要である。特に「C読むこと」においては,指導事項に示す読むことの内容を児童に確実に身に付けるため、無目的に場面ごと,段落ごとに平板に読み取らせる指導を改善することが求められる。
すなわち,
①児童自身にとっての読む目的を明確にして本や文章を選んだり,
②目的に応じて内容を的確にとらえたり,
③自分の考えをまとめて交流したり            
するなど,
児童に必要な読む能力を調和的に育成することが重要である。

 抽出した部分から、「言語活動」とは、書く活動だけではなく「①②③」も言語活動して成立していることを心に留めておいてください。

 合体単元としては、

 東京書籍「2年・下」
   読む→「読んで説明の仕方を考えよう~しかけカードの作り方~」
   書く→「おもちゃの作り方」
    
   合体単元
   「おもちゃ説明書を作るために、しかけカードの作り方を勉強しよう。」

 東京書籍「3年・下」
   読む→「説明の仕方を考えよう~すがたをかえる大豆~」
   書く→「食べ物のひみつを教えます」

   合体単元
   「食べ物図鑑を作るために、すがたをかえる大豆を勉強しよう。」

 両学年とも、合体可能な2単元ですが、子ども達は、書きぶり・書き方・説明の仕方よりも、内容にひかれます。「読む単元のゴール」を「書く単元のゴール」からもって来なくても、内容を読むための「単元を貫く言語活動」を用意することが、学習意欲を高めることにつながります。
 

 確かに、時間的な余裕はありません。ですから、合理的な「合体単元」は時間数の減少に魅力的です。しかし、年間2~3教材と数が少なくなった「説明文」で「読む力」を育ててほしいと願っています。

 さらに、ゴールの言語活動設定は、教師の強い意図が働きます。子ども達の興味・関心とは別角度からの設定となります。ですが、子ども達の興味・関心を重視して学習活動を展開することは非常に重要です。評価の第一番目が「感心・意欲・態度」となっているのは、簡単に言うと「好きこそものの上手なれ」と言うことなのです。文部科学省のホームページから子ども達の興味感心について非常に重要な文章があります。

課題設定と言語活動

小学校学習指導要領(平成10年文部省告示第175号)
第1章 総則  第5 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
には、次のような文章があります。

(5) 各教科等の指導に当たっては、児童が学習内容を確実に身に付けることができるよう、学校や児童の実態に応じ、個別指導やグループ別指導、繰り返し指導、学習内容の習熟の程度に応じた指導、児童の興味・関心等に応じた課題学習、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導、教師の協力的な指導など指導方法や指導体制を工夫改善し、個に応じた指導の充実を図ること。 

文部科学省は、生きる力の育成のために

 各教科等の指導に当たっては、児童が学習内容を確実に身に付けることができるよう、学校や児童の実態に応じ、個別指導やグループ別指導、繰り返し指導、学習内容の習熟の程度に応じた指導、児童の興味・関心等に応じた課題学習、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導、教師の協力的な指導など指導方法や指導体制を工夫改善し、個に応じた指導の充実を図ること。

と、記しています。
 体育の時間は、子ども達が積極的に参加します。ですが、国語の授業となると受け身になっている子ども達の姿が多いようです。
 言語活動の重視が掲げられている現状では、上記の「児童の興味・関心等に応じた課題学習」は、国語学習では非常に難しい状況になっていると考えます。言い過ぎかもしれませんが、子ども達の興味関心を無視し、教師の都合のよい課題ばかりを設定したのでは、授業は教師の思考の流れで展開され、生きる力となる子ども達一人一人の思考力は育ち難くなります。

 
初発の感想を出し合うのは、あらすじをつかませるだけではなく、子ども達の読みの程度を把握するためでもあります。子ども達の読みの程度(興味感心も含め)を把握し、そこから課題を設定したいものですね。
 この「職人芸」とも言える技は、一朝一夕では手に入りません。日々、子ども達の表情を見つめ、子ども達の思考の流れを予測する教師の努力が必要です。

 授業が終わった後、子ども達から、
「今日の国語楽しかった。」「難しかったけれどおもしろかった」
等の声を聴きたいですね。努力する教師のみに「その日は、訪れます!」


 


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