オフィス「和み」

ネットで「小学校教育」を支援・助言します。

水泳指導「水慣れ」
このエントリーをはてなブックマークに追加

水泳と私!

卒論テーマ「合理的な泳法」
昭和50年3月に早稲田大学教育学部を卒業しました。

 卒業論文テーマは「合理的な泳法」にしました。なぜ、泳法をテーマにしたのか?、
また、ここに載せる水泳指導についての信頼性を高めるためにも、「水泳と私」について支援者(助言者)紹介のページをご参照ください。


スイミング指導者と教師の水泳指導の違い

 私が考える「学校における水泳指導」は、「子どもと子どもが関わり合って水泳」をするプログラムです。

・スイミングコーチ→少人数で一人一人に対しての指導。
・教師→集団に対しての指導。教師一人が30名前後を指導。

 初任者水泳指導研修では「バディ」と言って「二人組(相手・仲間)」を作り、集団での安全を確認する方法を教えます。その「バディ(仲間)」を安全確認のためだけではなく、授業に生かすことを考えました。


 

水慣れ

子ども達の前に、教師が!
 跳び箱をセットして子ども達を跳ばせる前に、教師が「跳び箱のセットの仕方が適切か」を確かめる必要があります。最良の方法は、子ども達が跳ぶ前に教師が跳んでみることです。
 水泳学習は安全に十分配慮しなければなりません。子ども達の前にしてほしいことは、次の2つです。

⓪教師は水着を着ている。(基本)
①シャワーを浴びてみる。(シャワー温度を体感する)
②プールに入ってみる。(水温を体感する。プールの中に異物が入っていないかを確かめる)

 昔、「パラソル教師」という言葉がありました。水泳学習の時、体育の服装で、日傘を差し、プールサイドから子ども達を指導する教師の姿を揶揄(やゆ)した言葉です。「⓪水着の着用」は子ども達の安全に配慮している教師の姿です。
水浴び「愛の特訓」
 シャワーを浴びて体の汗を流すことは当たり前のことです。しかし冷たいシャワーではなく、水を頭から浴びさせる方法を、私はお勧めします。ただし、小さなバケツ(二人に1つ)が必要です。

<留意点>
①体育座りで、あごを引かせる。口を開けさせて口で息をする。鼻で息をすると鼻に水が入るので、最初は鼻を自分の指でつまんで、口で「はぁーはぁ」」と言わせ、頭から水をかけます。シャワー代わりにする場合は、体にもかけることを忘れないで声かけしてください。
②水泳学習の1時限目に体験させ、水泳学習のある度に同じことを繰り返します。何回もすると「慣れ」てきます。それが、水慣れなのです。1回体験させるのではなく、慣れさせることが最も重要な教師の配慮です。そうして「「頭から水をかけられても、口を開けて、口で呼吸ができる」ことを体験させるのです。
 
 バケツは1年生でも扱える大きさがベストです。最初は教師が一人一人の子ども達に対して「愛の特訓」をするといいです。子ども達を把握できるからです。成長を発見する場合は、前の姿と今の姿を把握していなければなりませんね。

 楽しく水浴びを行わせるためには、バディ(二人組)でジャンケンをさせます。勝った人が負けた人にかける(その反対も可)ことで盛り上がりますよ。但し、「口で息をすること」を徹底させてくださいね。
「洗顔・洗髪」宿題
 泳ぐための最大の難関は、水に対する恐怖感を取り除くことです。「愛の特訓」ができる子は難関を突破しています。しかし、頭から水をかけられること嫌う子・できない子には、宿題を出してください。

 <宿題内容>
①朝、両手で水をすくい「口でウーゥー」と言いながら顔を洗わせる。回数は多ければ多いほどいいです。回数は慣れに比例します。
※ 蒸しタオルで顔を拭いている場合は即刻中止させてください。
②頭を洗う場合、頭から「シャワー」や「桶のお湯」をかけること。
※ 頭からの場合の注意点は、「愛の特訓」を参照してください。

 この宿題は、お家の人達に電話連絡や連絡帳で、確実に伝えてください。水泳は自分の命を守る勉強です。水遊びを学習する1年生の「担任の使命だ」と考えてほしいです。
水かけごっこ・水かけ対戦
 低学年の水深は、「腕の長さ」が最適です。浅いプールがない学校では「水位の上げ下げ」が大変ですし、「水道料」もかかります。是非とも、1コース分だけでも「浅い」部分のあるプールを設置していただきたいものです。

 プールサイドに腰を下ろさせ、「バタ足始め~」は、まだまだ早いです。パティ同士で「水かけ」をさせます。1対1や2対2で対戦する方法もあります。教師に向かって水をかけることもOKです。

<留意点>
①顔に水がついても「手でぬぐわない」体験をさせるのです。
②口に水が入っても、ゴックンと飲まなければ大丈夫だし、呼吸もできることを体験させるのです。

 対戦は、男子対女子。班対抗でも結構です。後ずさりしない・顔を拭かないの2点をルールにすると、学習の課題が明確になります。
「おんぶ」歩き→「おんぶ」リレー
 「おんぶ」歩きは、バディでジャンケンをして、勝った人がおんぶしてもらう(その反対も可)。おんぶする距離を決め、交代します。
①プールの縦25mを使う場合は、半分の所で交代させます。
②プールの横12mー15mを使う場合は、着いたら交代させます。
※「バディを使う・ジャンケンする・おんぶする・おんぶされる」は、人間関係を築くためでもあります。バディは先生が決めず、「いっしょにしてください」とさそう体験を積み重ねるのです。おんぶしたりおんぶされたり、まさしく、裸のつきあいを体験させるのです。
 
 「おんぶ」リレーは、チームを作って、リレーをします。途中で交代することが大切です。おんぶされる人やおんぶする人が固定しないよう配慮してください。なお、浅い場所は水の抵抗が少ないので、速く歩けることを教師は知っておいてください。

<留意点>
①おんぶされるときは、おんぶしている人の首に腕を巻き付けない。首を絞められると、とっても息苦しいです。
②転んだ場合は、両者とも手を離す。
③水を飲んだ場合は、「ゴックン」と飲み込む。プールの水は飲んでも死なない。
ジャンケン列車→洗濯機「流水プール」
 バディでジャンケンをします。負けた人は勝った人の肩を両手で持ちます。勝った人同士がジャンケンをして、同様のルールで、列を伸ばしていきます。最後に、1つの列車になります。
 その列車が進むと、水の流れが作られ、流水プールになります。全員で円を作ってあるけば「洗濯機」のような水の流れを作りだすことができます。

水慣れ方法は、教師のアイディア次第!
 ビート板を持ってバタ足をするまで、水慣れが必要なのです。水慣れの方法は、教師のアイディア次第です。そこで、学習のねらいを明確にしておきましょう。

・顔に水がついてもぬぐわない。泣かない。
・口で息をする。鼻で息を吸わない。
※ 息は「口で吸って、口で吐く」が第一段階です。最終段階は、息は「口から吸って、鼻から吐く」です。鼻から息を吐くときには「口を閉じて、鼻で「んーんー」と言わせることが重要です。鈴木大地選手がオリンピックで優勝した背泳ぎのパサロスタートは、「鼻から息を吐き続ける」必要があります。水中で「でんぐり返しをする」、「逆立ちをする」ときも、鼻から「んーんー」と息を吐き、鼻に水が入らないようにすることを教師は知っておいてください。
・水に顔をつけることができる。
・水に顔をつけて「ウーゥー」と言うことができる。
・もぐることができる。
※ 潜っているときも、「ウーゥー」と言わせます。息は止めるのではなく、水中では息を吐く、そして、顔が水面に出たとき「パッ」と言わせます。呼吸の基本は「うー・うー・ウー・パッ」です。

①プールサイドに「バケツ」をおいて、「水かけごっこ」でもOK。
②プールの水道ホースを使い、雨みたいに降らすのもOK。
③宝さがしもOK。ビート板やヘルパーの浮きを沈めることもOK。
※ 沈ませた物は、勢いよく浮き上がってくるので注意です。
④輪くぐり。
⑤大型ビート板乗り。人運びもOK。

 子ども達が楽しく水に慣れる活動を積み重ねる学習を展開してください。暑い夏、子ども達は水遊びが大好きです。大好きな「水遊び」を通して水に慣れさせてください。「一回目に入った子が二回目以降入らなかった」ということがないようにね。一人一人の子に、命を守る学習を確保させてください。

 なお、水泳学習の最後は、シャワーで体に残っているプール水を洗い流してください。皮膚が弱くて、塩素に反応する子がいるかもしれませんから。



今後の予定

 文章での説明だけでは分かりづらいですね。今後、写真や図を入れていきたいと思っています。


トップページ~