オフィス「和み」

ネットで「小学校教育」を支援・助言します。

人間関係作りは遊びから
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1.遊びすすめ!


 子ども達は遊んでいるか? 

 休み時間に運動場で子ども達の遊ぶ姿を見ることはできますか?
 放課後の運動場は、どうでしょうか?

 休み時間に運動場へ出た子ども達は、どんな遊びをしていますか?
 放課後の運動場で、子ども達は遊んでいますか?

 学校の休み時間での子ども達の一般的な遊びは、
 ・教室や廊下で鬼ごっこ、じゃれ合い、読書、ノートにお絵かき・迷路…
 ・体育館では、ドッジボール、縄跳び…
 ・運動場では、サッカー、ドッジボール、ブランコ、ジャングルジムで鬼ごっこ…

 ・放課後の運動場では、サッカー少年団(クラブ)、野球少年団(クラブ)、体育館開放では、バレーボール教室(少年団・クラブ)、ミニバスケット教室(少年団・クラブ)、空手や剣道教室(少年団・クラブ)…。

 ・家の中では、テレビゲームのみ。最近は、大人のスマホを使って、アプリゲームを楽しんでいるようです。

 楽しむことを「遊び」と定義すると、図工で楽しみながら工作している時も遊びになってしまいますが、学習場面ではなく、休み時間・放課後・家庭・地域において、子ども達が楽しんでいる遊びを「対戦・対決型」と「協力・共同型」との大別することができると考えます。

 テレビゲームは「対戦・対決型」が多いようです。死んでも復活するので、人間の人生もリセットできると思っている子どもが存在するようになりました。ボードゲームも対戦・対決型に入るようですが、実は、一人で楽しめないゲームは協力・共同型に類別します。
 協力・共同型は、一般的に「昔の遊び」と言われる遊びが多いです。鬼ごっこ・ケンパ・だんぼ十字架・Sケン…。

 大別した両者の違いは、「戦い」を楽しむか、「共に時間を過ごす」を楽しむかであり、この違いこそが、人間関係作りの重要なポイントなのです。


2.集団を高めるために


 集団を学級集団、そして、学習集団に高めるためには、人間関係の成立が不可欠です。学級における人間関係を表現する場合、「協力」という文字が最適だと考えています。
 小さな「力・力・力」を+(プラス)して、大きな力にする。
 協=
です。

 戦いを楽しむゲームをしていたり、一人でゲームを楽しんでいたりする子どもは自己中心的になりがちで、協力することが苦手な子になってしまいます。周りに気遣う、相手のことを考えるなどの経験が不足していると考えていいでしょう。
 


3.協力型の遊び

 「烏合(うごう)の衆」とは、「規律も統一もなく寄り集まる」と言う意味です。学級が烏合の衆であっては、教育活動の営みは成立しません。そこで、集団を学級集団として高めるために遊びをお薦めします。つまり、学級集団としての人間関係を成立させるのです。

 私が担任をしている時は、「音楽」で共同体験を積み重ねました。ギターで子ども達と歌を歌ったり、ギターとリコーダーでアニメソングを楽しんだり、子ども達のお誕生日は必ず「歌」か「リコーダ」をプレゼントしました。

 平成25年8月15日の同窓会(K市立D小学校)でも、小学校時代のギターや歌の話が出ました。自分たちの世代では知らない歌を先生が教えてくれ、今でもカラオケで歌っている。ということでした。いい時代でした。余談でした。

 協力を実感させる遊びとしては、一人では楽しめないものがいいです。その人数が多いほど、人間関係の成立が望まれると考えています。

・将棋・五並べ・オセロは2名で成立します。

・ドッジボールは、2名では成立しません。多くの人数が必要になります。但し、ドッジボールで「協力」が成立する学級は、学級集団に成長している学級です。投げることが得意な子だけが活躍するドッジボールは、遊びではなくなります。得意としている子の「ストレスの解消の場」となってしまいます。近くにいる子に対しても思いっきりボールをぶつける。転んだ子に対しても容赦なくボールをぶつける。こんな姿が見られるドッジボールは、対戦・対決型になってしまい良好な人間関係の成立は望めません。
 

 昔の遊びと言われる「ケンパ」は対戦・対決型に近いですが、共に遊んで楽しい時間を過ごすことができます。ただし、ルールを現代風に変えないと、子ども達は敬遠していまいます。

 昔のケンパは、「失敗しない限り、続けて何度でもできる」ものでした。つまり、相手チームが失敗するまで、待っていなければなれませんでした。

 現在の子ども達は待てるでしょうか。さらに、自分たちだけで「線を踏んだ」ことを正しく判断できるでしょうか。今の子ども達では難しいそうです。

 今の子ども達は、待てません。我慢できません。そして、自分の都合のいい判断をしがちです。つまり、そんな生活経験を積み重ねていきいるのです。

 ですから、

 ケンパを集団遊びとして成立させるためには、工夫が必要です。2チームで遊ぶのではなく、審判を置く方法があります。ケンパの仲間には入ることはできなくても、線を踏んだ判断ができる子を審判としてお願いするのです。これで、正しい判断が成立します。待てない子ども達ですから、Aチームがスタートしてもどってきたら、Bチームに交代する「1回交代制」を採用する。これで10分間の休み時間でも「交代制」を採用すると遊べます。

 Sけんは、団結力と強さを生み出します。但し、失敗しても「ジャンケンで勝ったら復活できる」ルールと、ジャンケンをしてくる人が必要です。先生がいる場合は先生がジャンケン人になります。いない場合は、誰かに頼まなければならなくなります。そんな頼んだり頼まれたりしながら、楽しむ関係が学級集団としての成長につながります。

 私が担任をしていた時、教室を「コの字型(話し合いを重視)」にし、真ん中の空きスペースに、カラーテープでケンパコートを作りました。屋上やピロティーなどに「Sけん・ケンパ・陣取り」なと゛をペンキで描いたこともあります。但し、作っただけでは、子ども達は遊びません。指導が必要です。いっしょに遊んで楽しいと思わせる教師の指導(関わり)が必要になります。
 遊びを知っている教師の存在が重要になってきます。


<ネットを活用>

 「どんな遊びか」「どのように遊ぶのか」を知りたい人は、ネットで調べてみてください。書店へ行って「遊び辞典」を購入する方法もあります。大切なことは、教える教師自身が実際に体験し、楽しさを味わうことが一番必要なことです。
 グループエンカウンター研修はあるのに、どうして「遊び研修」はないのでしょうか。昔遊びで人間関係をつくる研修を実施したいくらいです。
 

4.遊びを支える心構え「教師・親の役割」

 どんな場面でも「勝ったこと」だけを評価しない。
 
 それが、教師・親の役割です。勝つことを評価・賞賛すると、「勝つこと」だけが目的になってしまいます。「勝つこと」だけに意義を感じ、「負けること」は無意味だと考えるのです。
 人間は失敗を積み重ねながら、内省力で成長し続ける動物です。失敗や敗北が自分自身にとって、良い機会となった人は多いはずです。未知なる力を持っている子ども達だからこそ、勝つことだけを評価せず、負けた相手に対しての敬意を教えるのです。失敗は成功の元を体験させるのです。

 遊びで「勝った・負けた」を味わわせるのではなく、共に時間を楽しめたことに喜びを感じる子ども達を育てましょう。「共に」とか「いっしょに」とか、「負けたけれど楽しかった」などを実感させることが、教師の役割であり、心構えとしてほしいことです。

 人生万事塞翁が馬!
 今だけで幸不幸を判断するのではなく、失敗を成功にできる力・ピンチをチャンスにできる力を育てていきましょう。まさに、生きる力です。未成の日本を担う子ども達だからこそ…。


 人間関係の成立は、「我慢」の成立!

 各家庭で大切に育てられた子ども達が、学校という小社会で集団を作る。それが学級です。学級でも、家庭と同じように一人一人が大切にされるべきです。現実として考えれば、集団の中で一人一人を大切にすることは大変難しいことです。

 例えば、45分間に常に全員が発言することは難しいのと同じです。そこには、時間的な制限と個々の能力差が存在するからです。ですけれど、不可能だと切り捨てず、可能な限り一人一人を大切にしている学級(教師)では、好ましい人間関係が成立しています。

 集団では、一人一人が少しずつ我慢することを学ばせなければなりません。

 <今日の学活は体育館で活動したいのですが、何をしますか?>
 一人一人の顔が違うと同様に、全員が同じ活動を希望するはずがありません。そんな時は、子ども達の希望を挙手でたずね、人数の多いものに決定します。  「多数決」です。この手法だけで展開すると、我慢する子が限られてきます。そこで、「前我慢してくれた(少人数だった)○○を今日はやってみよう」と教師が関わると、少意見の尊重を理解できるのです。

 やっぱり、子どもと関わる大人「親・先生」の心構え・人生観・価値観などが、子ども達に反映していくのです。人間は環境の動物です。


末尾に!

 「人間関係は遊びから」というテーマで考えを進めてきましたが、子どもと関わる大人の関わり方次第で、子ども達の人間関係に大きな影響を与える。という結論になってしまいました。
 ですが、やはり子ども達には遊んでほしいです。それも、協力できる遊び、一体感を味わえる遊びをしてほしいです。

 最近の学校は「学力中心」になりつつありますが、基本的な生活習慣の確立や規範意識の向上が学力向上に与える影響が多い。と同様に、楽しむ時間を共有する仲間の存在が好ましい人間関係を成立させることを忘れないでください。
 
 夏休みを削って学習時間を確保する現在ですが、時間の許す限り、楽しむ時間を共有する時間を確保してみてください。きっと、学級の雰囲気が変化し、学級集団から学習集団への成長の姿が見えてくるはずです。

人間関係形成力は、大人社会での最大の武器にもなりますから。

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