子ども達は遊んでいるか?
休み時間に運動場で子ども達の遊ぶ姿を見ることはできますか?
放課後の運動場は、どうでしょうか?
休み時間に運動場へ出た子ども達は、どんな遊びをしていますか?
放課後の運動場で、子ども達は遊んでいますか?
学校の休み時間での子ども達の一般的な遊びは、
・教室や廊下で鬼ごっこ、じゃれ合い、読書、ノートにお絵かき・迷路…
・体育館では、ドッジボール、縄跳び…
・運動場では、サッカー、ドッジボール、ブランコ、ジャングルジムで鬼ごっこ…
・放課後の運動場では、サッカー少年団(クラブ)、野球少年団(クラブ)、体育館開放では、バレーボール教室(少年団・クラブ)、ミニバスケット教室(少年団・クラブ)、空手や剣道教室(少年団・クラブ)…。
・家の中では、テレビゲームのみ。最近は、大人のスマホを使って、アプリゲームを楽しんでいるようです。
楽しむことを「遊び」と定義すると、図工で楽しみながら工作している時も遊びになってしまいますが、学習場面ではなく、休み時間・放課後・家庭・地域において、子ども達が楽しんでいる遊びを「対戦・対決型」と「協力・共同型」との大別することができると考えます。
テレビゲームは「対戦・対決型」が多いようです。死んでも復活するので、人間の人生もリセットできると思っている子どもが存在するようになりました。ボードゲームも対戦・対決型に入るようですが、実は、一人で楽しめないゲームは協力・共同型に類別します。
協力・共同型は、一般的に「昔の遊び」と言われる遊びが多いです。鬼ごっこ・ケンパ・だんぼ十字架・Sケン…。
大別した両者の違いは、「戦い」を楽しむか、「共に時間を過ごす」を楽しむかであり、この違いこそが、人間関係作りの重要なポイントなのです。
集団を学級集団、そして、学習集団に高めるためには、人間関係の成立が不可欠です。学級における人間関係を表現する場合、「協力」という文字が最適だと考えています。
小さな「力・力・力」を+(プラス)して、大きな力にする。
協=力+力+力→力です。
戦いを楽しむゲームをしていたり、一人でゲームを楽しんでいたりする子どもは自己中心的になりがちで、協力することが苦手な子になってしまいます。周りに気遣う、相手のことを考えるなどの経験が不足していると考えていいでしょう。
「烏合(うごう)の衆」とは、「規律も統一もなく寄り集まる」と言う意味です。学級が烏合の衆であっては、教育活動の営みは成立しません。そこで、集団を学級集団として高めるために遊びをお薦めします。つまり、学級集団としての人間関係を成立させるのです。
私が担任をしている時は、「音楽」で共同体験を積み重ねました。ギターで子ども達と歌を歌ったり、ギターとリコーダーでアニメソングを楽しんだり、子ども達のお誕生日は必ず「歌」か「リコーダ」をプレゼントしました。
平成25年8月15日の同窓会(K市立D小学校)でも、小学校時代のギターや歌の話が出ました。自分たちの世代では知らない歌を先生が教えてくれ、今でもカラオケで歌っている。ということでした。いい時代でした。余談でした。
協力を実感させる遊びとしては、一人では楽しめないものがいいです。その人数が多いほど、人間関係の成立が望まれると考えています。
・将棋・五並べ・オセロは2名で成立します。
・ドッジボールは、2名では成立しません。多くの人数が必要になります。但し、ドッジボールで「協力」が成立する学級は、学級集団に成長している学級です。投げることが得意な子だけが活躍するドッジボールは、遊びではなくなります。得意としている子の「ストレスの解消の場」となってしまいます。近くにいる子に対しても思いっきりボールをぶつける。転んだ子に対しても容赦なくボールをぶつける。こんな姿が見られるドッジボールは、対戦・対決型になってしまい良好な人間関係の成立は望めません。
昔の遊びと言われる「ケンパ」は対戦・対決型に近いですが、共に遊んで楽しい時間を過ごすことができます。ただし、ルールを現代風に変えないと、子ども達は敬遠していまいます。
昔のケンパは、「失敗しない限り、続けて何度でもできる」ものでした。つまり、相手チームが失敗するまで、待っていなければなれませんでした。
現在の子ども達は待てるでしょうか。さらに、自分たちだけで「線を踏んだ」ことを正しく判断できるでしょうか。今の子ども達では難しいそうです。
今の子ども達は、待てません。我慢できません。そして、自分の都合のいい判断をしがちです。つまり、そんな生活経験を積み重ねていきいるのです。
ですから、
ケンパを集団遊びとして成立させるためには、工夫が必要です。2チームで遊ぶのではなく、審判を置く方法があります。ケンパの仲間には入ることはできなくても、線を踏んだ判断ができる子を審判としてお願いするのです。これで、正しい判断が成立します。待てない子ども達ですから、Aチームがスタートしてもどってきたら、Bチームに交代する「1回交代制」を採用する。これで10分間の休み時間でも「交代制」を採用すると遊べます。
Sけんは、団結力と強さを生み出します。但し、失敗しても「ジャンケンで勝ったら復活できる」ルールと、ジャンケンをしてくる人が必要です。先生がいる場合は先生がジャンケン人になります。いない場合は、誰かに頼まなければならなくなります。そんな頼んだり頼まれたりしながら、楽しむ関係が学級集団としての成長につながります。
私が担任をしていた時、教室を「コの字型(話し合いを重視)」にし、真ん中の空きスペースに、カラーテープでケンパコートを作りました。屋上やピロティーなどに「Sけん・ケンパ・陣取り」なと゛をペンキで描いたこともあります。但し、作っただけでは、子ども達は遊びません。指導が必要です。いっしょに遊んで楽しいと思わせる教師の指導(関わり)が必要になります。
遊びを知っている教師の存在が重要になってきます。