オフィス「和み」

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シャボン玉
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「作品の世界を深く味わう」学習!
教材「野口 雨情作詩~シャボン玉~」

     シャボン玉
                         野口雨情作詞・中山晋平作曲
シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた

                              ※ 記号「T…教師・P…子ども・Pn…子ども達(多くの子ども)」
1.教材の提示
T1 (歌詞1題目だけを板書) みんなシャボン玉の歌を知っているかな? 
Pn 知っている↑
T2 みんなで歌ってみよう。(子ども達と一緒に歌う。)
T3 この詩を作った作者は、野口 雨情さんという人で、明治・大正・昭和を生きた人です。この詩を書いたのは1922年(大正11年)です。平成の今でも歌い継がれているシャボン玉に雨情さんは、ある願いを込めて作りました。今日は雨情さんは「どんな願い」を読み手(読者)に受け止めてほしかったのか、みんなで考えてみましょう。

2.課題の設定     <どんな思い(願い)を受け止めてほしかったのか?>
                     <何(どんな思い・願い)を伝えたかったのかな?>
※ 「受け止めてほしい」は「伝えたいものがある」からです。課題の言葉は、学級の実態や何を考えさせたいと教師が願っているのかを基にして設定しましょう。「願い」は「こうあってほしい」と強い思いと考えます。

3.自分の考えの確立(自己決定の場)
 
※ 考える時間の確保は大切であるが、ウルトラマン・カップヌードルなど、多くの場合は3~5分間です。最初に時間を取り過ぎると「深める時間の確保」が難しくなります。ノートには「今日の日付・課題・自分の考え」を記す。

4.各自考えを出し合う→関わりが成立する「話し合う」になるとよい。
T1 そこまで(3~5分間)の考えを聴かせてください。
P1 雨情さんは子ども達にシャボン玉で楽しく遊んでほしいと思ったと思います。
T2 「シャボン玉で楽しく遊んでほしい」と願ったと考えたのだね。
Pn 同じです。
T3 同じ考えから聴かせて。
P2 私もP1さんと同じで、「楽しく遊んでほしい」と願ったのだと思います。シャボン玉は幼稚園の頃からもしましたね。シャボン玉をしていると、とても楽しい気持ちになるからです。
P3 私も今までの人と同じです。「楽しい気持ちをもって生活してほしい」と願ったと思います。
T4 今までの考えと同じようだけれど、「遊んでほしい」というより、「生活してほしい」と言うのだね。
P3 子ども達の生活の一つが遊びだから、「遊び」でもいいです。楽しい気持ちが大切だよと受け止めてほしかったのかな?
T5 子ども達に「楽しく遊んでほしい」「楽しい気持ちで生活してほしい」という考えが多く出ましたが、みんな同じでいいかな?
P4 僕は「気をつけて遊びなさい」と伝えたかったと思います。シャボン玉をしていると屋根まで飛んでいきますね。上ばかり見ていると危ないし、壊れて消えたと書いてあるので「事故で命を落としてはいけないよ。」と注意しているのだと思います。
T6 今度は、「壊れて消えた」の部分から、「注意して遊びなさい」という考えが出ました。
P5 私は「命を大切にしてね」と伝えたかったのだ思います。「壊れて消えた」がなかったら、楽しく遊んでねでいいと思います。
P6 先生。2題目の詩は関係しますか? 
※ この発言がなくても、2題目提示するのですが、子ども達の考えが、明確になるように「板書」した後。
   多くの子ども達  ・楽しく遊んで。   ・楽しい気持ちで生活して。
   他の考え     ・気をつけなさい。  ・命を大切にして。 

2題目(全国的には2曲目)以降を提示。

シャボン玉消えた
飛ばずに消えた
産まれてすぐに
こわれて消えた

風、風、吹くな
シャボン玉飛ばそ


5.考えを深める「作品を深く味わう」
 ※ 「2題目以降を提示するか」「雨情氏が作詞した状況を解説するか」どちらが先かは、子ども達の発言の内容・学習の雰囲気・盛り上がり方などから、教師が瞬時に判断するとよい。また、状況を解説した後、2曲目以降を提示する。その逆もある。授業をどのように創っていくかが試される瞬間である。

  雨情氏の家庭状況は、次の通りであるが、子ども達に伝えたい情報だけを解説する配慮が必要である。
1908年、雨情は後に協議離婚に至った妻のひろとの間に、長女「みどり」をもうけた。人形のように愛らしい赤ん坊であったが、産まれて7日目に死んでしまった。当時は、乳幼児が死ぬのはさほど珍しいことではなく、2~3割の子供が学齢前に死亡していた。

T1 どうでしょう。「・楽しく遊んで。・楽しい気持ちで生活して。・気をつけなさい。 ・命を大切にして。」のどれを伝えたかったのかな?
P1 私は、雨情さんが「7日目で女の子をなくし、産まれてすぐに壊れて消えた」と書いたのだから、命の弱々しさを伝えたかったのだと思います。
P2 僕はやっぱり命を大切にしてほしいと伝えたかったのだと思います。「風風吹くな」と言っても、風はどこにいっても吹きますね。だから、風はどこでも吹くから命は大切にしてほしい。伝えたかったのだと思います。
Pn 同じです。
P3 「風風吹くな」の所では、「どこでも風は吹くというのではなく、みどりちゃんの命をもどしてほしい。とか、奪わないでほしいと、伝えたかったのだと思います。Pn 深い。
T2 最初は楽しい歌のように感じたシャボン玉は、雨情さんがこの詩を作った時の事情を知ったり、2題目以降の詩を読んだりすると、「命の弱々しさ」「命の大切さ」などを伝えたかったと深まったね。では、学習したまとめをノートに書いて。

6.自分で本時の学習のまとめをする
 何をどのように書くかは、活用力につながる。「感想だけ」とか「黒板に書いてあることを写す」だけではなく、日々のノート作りで大切したらよいことは、
①課題についての最初の考え。(日付や課題を含め)
②課題についての最後の考え。
 ・はじめは~~と思っていたけれど、〇〇さんの発言で、先生の解説で、2題目以降の詩「産まれてすぐ」で、命のはかなさを伝えたかったと深まりました。分かりました。
③身につけたい力・身についた力としては、
・「言葉だけではなく、その言葉を書いた人の考え方や生き方(事情)を参考にすること、一部ではなく全体を通して考える」ことです。
④今日のピカイチさんは〇〇さんです。「命の弱々しさ」というすっきりする言葉を言ったからです。
 

※ この学習は、光村図書国語6年「やまなし」につながる授業です。宮沢賢治氏が題名「やまなし」に込めた願いを読み取る前に、子ども達と「野口雨情氏~シャボン玉~」で、生き方・考え方を通して「深まる授業」を楽しんでみてください。


さらに、続く「シャボン玉」 パロディー編・所ジョージ氏の考えを参考に!

シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた


7.題名当てクイズ!
T1 命の弱々しさを歌ったこのシャボン玉の1題目で、所ジョージさんは「〇〇」とか「〇」とかいう題名をつけました。さて、所さんがつけた「〇〇」や「〇」を考えましょう。
     課題は <所さんのつけた題名は、何か?> となりますね。
P1 先生。「〇〇」や「〇」は漢字ですか?
T2 両方とも漢字です。読み仮名にすると。「〇〇は四文字」で、「〇」は「三文字」です。では、文章を基に考えてみましょう。
 ※ 黒板には、次のように提示すると、分かりやすいです。


P2 先生。題名が二つあるのですか?
T3 言葉が違うのですが、意味はだいたい同じです。
P3 ヒントは何ですか?
T4 文章にヒントがあります。壊れて消えたのはシャボン玉だけですか?
P5 分かった。三文字の読み仮名の最初は「あ」ですか?
T5 正解!
P6 四文字が分からない。
P7 もしかしたら四文字の最初の読み仮名は、「た」ですか?
T6 正解! ひらめかない人のためのにヒントを出して。
P8 「屋根まで飛んだのです」だから「あ」か「た」です。
Pn 分かった。分からん。
T7 文章にヒントがあるよ。シャボン玉は飛んだね。飛んだのはシャボン玉だけですか?
Pn 分かった。↑↑ 分からない。↓

※ 子ども達からのヒントで、全員が「分かった」と味わえるよう授業を組立ててください。

 いかがでしょうか? みなさんは、パロディーとして、所さんがつけた題名がひらめきましたか? 「ひらめき」は「アハ体験」で、脳が活性化されます。ドーパミンが分泌されて考えることが楽しくなりますよ。

8.終わりに
 国語は、言葉や文章、話した内容、知っている知識などを駆使する「日本語の勉強」です。聴きっぱなし、書きっぱなし、話っぱなしの授業ではなく、「話す・聴く・書く」の活動がバランスよく配分されている方がいいです。ですけれど、何よりも、「国語がおもしろい・国語が好き・謎などを解いているみたい」と子ども達が思ってくれるよう教師が仕組む・展開する・組み立てることが必要です。
 あなたも「国語の学習・授業」が楽しくなったり、待ち遠しく思って頂けると幸いです。

                                      明日への動機付けになったとしたら、幸いです!


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