オフィス「和み」

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生徒指導の3機能
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生徒指導の3機能 「坂本 昇一氏の理論」

教育の根源
①教育基本法…第一条(教育の目的)教育は、
                  人格の完成を目指し…   (以下略)

②人格とは
人格の完成が教育の最終目的であるとすれば、その「人格」とは何かを明確にしなければらならい。そこで、人格は次の3つの領域からなりたつと考える。

      認知の領域      →(理解)←よくわからせる
 構造← 感情の領域      →(意欲)←やる気を育てる  →形成
      域神経・筋肉の領域→(技術)←やり方を身につける

 認識の領域とは、知識・知的能力・理解という言葉であらわされる資質を含む領域であって教育作業からいえば「よくわからせる」ということ。神経・筋肉の領域は、手技的な(手仕事のような)技能の領域であって、教育作用からいえば「やり方を身につける」ということ、くり返し、くり返し実行して、子どもが体で覚えるということになる。感情の領域とは、意欲・関心などの言葉で表現される資質の領域で、教育作用からいえば、「やる気をそだてる」ということである。
 教育活動が、子どもの「人格形成」になるためには、教師は、「よくわからせる」(いってきかせる)、「やり方を身に付けさせる」、(させてみる)、そして、「やる気を育てる」(ほめるのもその一つ)の三拍子そろった指導をしなければならないということになる。
 子どもの実態を「指示待ちの子」と把握したということは、これまでの教育実践の中に、よくわからせる・やり方を身につけさせるといった活動が多く、やる気を育てるといった活動が少なかったといえる。もちろん、それは、学校教育だけではなく、社会一般に子ども達の生活環境が変化したためでもある。

人格形成のための3つのアプローチのうち、「よくわからせる」(理解)と「やり方を身に付けさせる」(技能)とは、教師が子どもに説教したり、説明したり、指示したり……「教えるという」作用で成り立つ。この両者の間の人間関係は「教える人」と「教えられる人」という関係である。これは、立場の異なる人の関係ということから「二分的関係」といわれる。この典型は、教科指導の場である。
 それに対して、3つ目の「やる気を育てる」(意欲)というアプローチは、「教える立場の人」と「教えられる立場の人」という二分的関係「上から下への説教・指示」などでは不可能である。いくら、教師が子どもに、「もっとやる気を出して取り組め」と叱っても・説教しても、子どもの中に、人格形成につながる「やる気」は育ってこない。その説教や叱責が「おどし」の作用をして、子どもがいやいやに動くことはあろう。しかし、これは、人格形成とかかわりのないものである。
 やる気は、「出させる」ものではなく、「育てる」ものである。子ども自身から、やる気が出せるような条件をととのえる。ほめることも、その一つ、子どもの長所を認めることも、それにあたる。子ども一人一人が存在感や自尊感情がもてるようにすることや、子どもが自分で考えて、決めて、実行して、責任を果たすことのできるよう自主性を尊重することも、「意欲」を育てることにつながる。また、教師と子どもとの間に、あたたかい人間的なふれあいがあれば、子どもは、教師が自分に何を期待しているかを先取りして、自分から意欲的に動くだろう。この「やる気」を育てるという感情の領域へのアプローチは、教師が子どもといっしょになって行動するという「共に努力しあう」関係で、はじめて可能となる。

 教科の学習指導が「知識や技術の習得」をねらうのに対して、生徒指導は「児童自身の特性に基づいて日々の生活における行動や態度を指導し、健全な性格を育成し、正常な成長・発達を図ること」をねらいとするものである。
 生徒指導とは、問題行動を示す子どもへの指導という考え方が中心を占めるようであるが、小学校においては、その究極のねらいとして「自己指導力」を一人一人の心の内に育てることであると考える。
 「自己指導力」とは、その時・その場で、最も適切である行動を自分で判断し実行する力であり、今求められている「生きる力」である。


自己決定の場を用意する

 自己決定とは、「自分で考え、自分で決めて、自分で実行する」ということで、そんな場を学習の中に設定するということである。子ども達一人一人が自己決定できるように、教師は、その障害となるものを排除するように支援しなければならない。


存在感を与える

 自尊感情を一人一人の子ども達に与えるということである。学習の場で存在感を子どもたちに与えるためには、「どんな発言であったか」だけを重視するのではなく、「誰が、どのように発言したか」を大切にすることになる。


共感的な関係で展開する

 共感的関係とは、教える人と教えられる人という関係ではなく、お互いを理解し共通の目的に向かって努力する共感的関係をつくりあげるということである。それは、技術や形式ではなく、共に同じ目的に向かって子どもと努力する教師の姿勢から成立するものである。


3機能を生きて働かせる場

 上記の3機能を意識して働かせる場を大別すると「生活の場」と「学習の場」の2場面となる。
 学校生活の時間で一番多くの時間を費やすのは学習の場である。つまり、「教科の学習指導を展開する場で、教科のねらいを達成しながら、生徒指導を機能させる」ということである。
 そんな学習が展開されることが、「教育が人格形成につながる」ということである。教科のねらいに到達させながら、生徒指導を機能させる学習を成立させるためには、どうしたらよいのでしょうか?

生徒指導の3機能を学習に生かすには

「言うは易く、行うは難し」といいます。
別のページで、一緒に考えていきましょう。

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