教材との出会いの場での教師の導きが重要です。
T 今日から「やまなし」を勉強します。ではなく、「今日から入るやまなしで何を勉強するのでしょう」と、リード文に着目させる。
P リード文には「作品の世界を深く味わおう」と書いてあります。
T 深く味わうためには、具体的にどうしたらよいの?
P 作者の考え方や生き方と重ねて、作品を豊かに読もう。また、他の作品へと読み広げよう。と書いてあります。
T 作者は?
P 宮沢 賢治。
T 今日から入る「やまなし」は、宮沢賢治さんの生き方や考え方と重ねて読んでいこうね。
T 宮沢賢治さんの本読んだことある? 司書の先生に協力してもらって、宮沢賢治さんの作品を廊下に並べてもらいましたので、読み広げてください。
T 「やまなし」を読む前に「賢治さんの生き方・考え方が書いてある<資料>イーハトーヴの夢」を先に読みますか?
※読み深めていくのは子ども達のなので、子ども達の意見を尊重して、読む順 序を考えさせる教師の配慮が必要です。
「クラムボンとは、何なのか?」は、子ども達の最大の疑問です。教科書103ページの下には「作者が作った言葉。意味はよく分からない。」と書いてあります。
宮沢賢治氏が創作した言葉「クラムボン」は、「五月」にしか出てきません。インターネットで検索すると「様々なクラムボン」が載っています。いろいろと子ども達が想像したものが載っています。以前の単元名は、「表現を味わい、豊かに想像しよう」となっていたので、想像を膨らませたのでしょう。
現在は、「作品の世界を深く味わおう」に変更されました。ですが、<クラムボンとは、何かな?>を切り口にして、「五月」でカワセミが登場する前のカニの兄弟や谷川の様子を豊かに読み取れることはできるでしょう。
・クラムボンは、賢治が作りだした言葉で、そんなもの分からん。
・クラムボンって何かな? 先生みんなで考えようよ。
どちらの声が、11月の子どもの姿として望ましいでしょうか?
教師は、不思議なお話だね。みんなで「クラムボンとは何か?」を教科書に書いてあることを基に考えてみよう。←私はお勧めします。
1教科書P124の上段を読んで「作者の生き方や考え方と重ねて作品を読もう」という学習課題をもつ。
<「やまなし」の学習計画を立てよう>
学習計画 ①何を勉強するの? 「リード文に着目」
②「やまなし」・「イーハトーブの夢」どっちを先に読む。
③「生き方・考え方が題名などに反映される学習を、「やまなし」の 前に練習としてみる?
2「やまなし」の題名と冒頭の一文から想像したことを発表し,全文を音読する。
<やまなしを読んで、感想を書こう>
<感想を話し合い、学習課題を作ろう>
※ 「3」以下の学習課題は、子ども達の読みの程度(感想等で判断)で変わってきます。子ども達の感想を出し合っている間に、「子ども達の疑問」や「読みのずれ」・「読みの矛盾」を教師が課題に練り上げる・変身させることが重要です。
3「五月」の谷川の様子を読む。
<5月の谷川は、どんな様子なの?>みんなの読みを出し合い豊かに読もう。
※ 教師の都合のいい発言だけを板書するのではなく、教科書124ページ
・かにの会話や様子 ・水の様子 ・色 ・上からやって来たもの
等を観点として板書する。
4「十二月」の谷川の様子を読む。
<12月の谷川は、どんな様子なの?>みんなの読みを出し合い豊かに読もう。
※ 教師の都合のいい発言だけを板書するのではなく、教科書124ページ
・かにの会話や様子 ・水の様子 ・色 ・上からやって来たもの
等を観点として板書する。
5「五月」と「十二月」の違いについて,感じたことを交流する。
<二枚の幻灯のちがいを考えよう>
※ 教科書124ページの「・かにの会話や様子 ・水の様子 ・色 ・上からやって来たもの」などの観点を提示して読む場合、「5」ではなく「4」の12月の谷川の様子でも違いをはっきりさせられる。
6「イーハトーヴの夢」を読み,賢治の生き方や考え方について,年表等にまと める。
<賢治の理想や考え方・生き方をはっきりさせよう>
※教科書125ページ
☆ 資料「イーハトーヴの夢」を読み、宮沢賢治の理想や、考え方・生き方に ついて、感じたことを話し合おう。
と提示されているので、「理想」という言語を抜かしてはならない。
※「理想」→人が心に描き求め続ける。そうあってほしいと思う最高の状態。
7賢治の生き方や考え方について話し合い,作者がなぜ「やまなし」という題名をつけたのかについて,考えをまとめる。
<どうして、題名に「やまなし」を選んだのか?>
※ <どうして、題名を「やまなし」にしたの?><なぜ、「やまなし」を題名にしたの?>など、同じような課題ですが、上から来たもの「カワセミ・やまなし」の違いをんでいる子ども達には、どの課題がよいかを判断して設定する。
8「やまなし」「イーハトーヴの夢」を読んで考えてきたことと,賢治の他の作品を読んで感じたことを関連づけて,話し合う。
※ 子ども達が知っている「宮崎 駿監督の作品には、宮崎 駿さんの考え方が反映している。」を例にして、賢治の作品を読んで考えたこと・感じたことを話し合い作品の世界を深く味わえる学習に展開できることを期待しています。
ウィキペディアで、宮崎 駿監督のことを調べてみました!
この一貫しているところが「宮崎駿監督の考え方」と、とらえても良いと思います。
この単元を通して「作品の世界を深く味わう場合、作者の生き方・考え方を知ることは重要なことだ」と実感できる学習になるといいですね。
末尾に!
「やまなし」の授業を何度も挑戦しましたが、なかなか「作品の世界を深く味わおう」を授業を展開ができませんでした。ですが、中学校へ進学する6年生だからこそ、「作者の生き方・考え方が、作品に反映していると実感させたい」と願って、授業を展開してきました。
生き方・考え方を学習することは、6年生にとっては大切な体験です。
6年生の物語は「海の命」が残されています。リード文には「人物の生き方について自分の考えをまとめよう」と記されています。
・父にあこがれ父を目標にして生きた「太一」の生き方。
だけではなく、
・父に反発し父にできないことを追い求めた桃花片(とうかへん)の「楊(やん)」の生き方
の両方を学習して、中学校へ送り出してやりたいですね。
6年生の先生方!
一人一人の子ども達自身の人生のために、さらに、日本を背負っていく未来の大人のためにも頑張ってください。
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