オフィス「和み」

ネットで「小学校教育」を支援・助言します。

水泳指導「泳ぐ」
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Ⅰ クロール
 クロールの段階的な指導について、9項目で紹介します。細かな部分はなかなか伝えられませんが、「慣れる」ことを大切にして指導してください。
 
 参考になれば幸いです。







1.「クロール」の手のかき方練習
  ①「1・2・3・4」で練習。

1…右手を後ろまでかく。後ろの人の手の平と「パチン」と合わせる。
2…右手を前にもどす。(上から前へ)
3…左手を後ろまでかく。後ろの人の手の平と「パチン」と合わせる。
4…左手を前にもどす。(上から前へ)
2.テンポを上げて、「1・2・3・4」で練習
 ①「手の平」で水をかく。

※ 手の平で水を、前でつかみ(キャッチ)、後ろまで引っ張り(プル)、最後は水を押す(プッシュ)動作がベストです。ここでは初歩的な手の平が最後まで水を押していることを体験させます。途中で、手の平をひっくり返してしまう子がいないよう配慮が必要。
3.ノーブレッシングクロール(息つぎなし)
 ①呼吸しないので、短い距離で行う。

②けのび→バタ足をしながら手を最後までかく。

③呼吸をしたくなったら止まる。

④「息」は止めない。水中で「ウゥー」と言わせる。

※ 呼吸は、適当に行うのではなく、しっかり指導してから!  

4.片手クロールの呼吸姿勢


①呼吸した時の姿勢を確かめ、確実に呼吸できることを体得させる。

②呼吸する時、肩を沈める。(ローリング)
  
③肩を見るようにさせる。(空でもよい)

④耳は水につける。

5.足を底についたまま「片手クロール


①呼吸の時、水をかかない方の手は、ビート板の真ん中に「パー」にしておく。

②1・2・3まで、両手は前に出しておく。(呼吸をする手はビート板の横に)「ウ・ウ・ウ」  
③4で、腕を後ろまでかき、顔を上げて「パッ」。

④テンポを上げて、「1・2・3・パッ」で練習する。
6.片手クロール
 ①「1・2・3・パッ」の呼吸練習。

②「けのび」の姿勢。 

③「手を後ろまで」かく。

④「肩を沈めて」空を見る。

※ 呼吸しない方の手はビート板に乗せたまま。水中で息を吐く練習を積み重ねたいので「1・2・3・パッ」の呼吸練習。さらに、顔は横に上げる。「前に上げない」ために、「肩を見て・空を見て」と声かける。
7.「ビート板」をサメにして片手クロール
①顔を上げると、沈む感覚を体験させる。

②右左逆にして「片手クロール」をさせてみる。

※ 「呼吸のしやすい側」を発見するために左右両方で練習させる。得意だと勘違いしている場合がある。
8.クロール


①両手を使って「1234」のタイミングで泳ぐ。

②呼吸は、空(肩)を見ること。

※「けりび」「呼吸」「ノープレッシングクロール」 「片手クロール」などのまとめ。
※ 鼻に水が入る人は、「口を閉じて」「鼻でウ~ンウ~ンウ~ン」と言わせる。「パッ」は同じ。
9.手だけでのクロール(プル練習)
①ビート板を股の部分で挟み、バタ足をせずに、手だてでクロールをする。特に、呼吸の時、上下運動がないように練習する

※ ビート板がない場合は、足の部分が沈んでしまうので、軽く足を動かすと良い。
       

 以上が、クロールの練習段階です。細かい部分はありますが、大切なことは回数を積み重ね「慣れる」ことです。呼吸するときは、「横を向いて」が自然にできるように子ども達を導いてください。ただし、時間数が限られていて天候にも左右されやすい水泳学習は「6年間」の段階的な指導が必要です。学校全体で学年ごとの課題をクリアできるよう声かけしてください。水泳は命を守る学習です。


Ⅱ 背泳ぎ(バック)

 クロールの呼吸は、難しいです。ですが、背泳ぎの呼吸は、鼻から「んー」と息を吐ければ簡単です。水に対する恐怖感を克服した子ども達にお勧めします。

 指導者として理解してほしいことは、水泳嫌いな子の理由です。

・寒い。・息が苦しい(息ができない)。・鼻から水が入る。・浮くと不安定になる。

などです。「浮くと不安定になる」ことを克服した子にとっては、呼吸がしやすい背泳ぎは大変有効です。





1.ビート板をお腹に当てて、「引っ張られる(引っ張る)」


①呼吸は、鼻に水が入らないように、「口を閉じて」・「鼻でウ~ンウ~ンウ~ン」と言わせる。

②引く人は、手のひらを上にし、頭を優しく持って引く。(水面より持ち上げない)

③姿勢は、「気をつけ」(両手は横)の姿勢。

※ 教師の腕は2本なので2名の子ども達を引くことができます。それでは待ち時間が多くなるので、バディ(2人組)を取り入れると、回数が多くなります。ただし、注意点を明確にする。

<注意点>
・力を抜いて「気をつけ」(両手は横)の姿勢で引っ張られる。
・腰を曲げない。ビート板をお腹に密着させる。
2.ビート板をお腹に当てて、「押される(押す)」
 ①呼吸・姿勢を忘れない。

②足を水面より上げない。

③頭を壁にぶつけないように注意する。
3.ビート板を持って、仰向けバタ足


①腰が沈まないように、ビート板にお腹を当てる

②バタ足は、上に向かって、柔らかく。

③鼻から「はく呼吸」をわすれない。
4.ビート板無しで、仰向けバタ足


①大きく・早く・鋭く「仰向けバタ足」する。

②鼻から「はく呼吸」を行う。

③頭を壁にぶつけないように注意する。
5.背泳ぎ
 1・2・3・4のタイミング

①「気をつけ」した姿勢

②1…右手を上げて、右耳の横(水の中)におく。

③2…右手の手のひらで太股の所まで水をかく

④3…左手を上げて、左耳の横(水の中)におく

⑤4…左手の手のひらで太股の所まで水をかく

⑥柔らかく、優しく泳ぐ。

※ 鼻からはく呼吸を大切にする

    

 背泳ぎのポイントは、「姿勢(腰が落ちない・腰を曲げない)」と「呼吸(口で吸って、鼻から吐く)」です。手のかき方はいろいろありますが、基本としては、耳の横から股まで、ボートのオールのような動作でOKです。




Ⅲ 平泳ぎ「ブレスト」キック

 平泳ぎのキックとタイミングについて紹介します。
 
 競技大会へ参加しない子であれば「ドルフィンキックの平泳ぎ」でもOKです。呼吸ができて、長く泳げる泳法を身につけることは、水害時に役立ちます。


1.「ドル平」
 

①ドルフィンキック(バタフライの足)と平泳ぎの手
            ↓
・両足を曲げて(左写真)、いっしょに伸ばす(右写真)。
・推進力は十分得られる。

  ※ ただし、水泳大会では、失格になる。


2.「ブレスト・キック」


①指導者が、足を持って、指導する(根気とやる気)
・足の甲で水を蹴るのではなく、足の裏を使って水を蹴る。

②できない子は、1~2週間かかる(根気とやる気)
3.ブレストのタイミングは、「1・2・1・2の2拍子」
①…水を蹴って伸びる(両手は前)…蹴る(キック)                   
②…両手をかきながら、両足をおしりに近寄せる 。

③…蹴る→かく→蹴る→かく→蹴る→かくの2拍子。

※…「蹴って」「かく」をしっしょにしない。

   

  

 暑い夏に「プールに入る」ことは、子ども達の最高の遊びです。体育学習は遊びではありませんが、遊びの要素を取り入れながら運動することも教師の工夫であり仕掛けでもあります。

<お願い>

①水泳「用語」を教えてください。
②1日目に「1」を練習したのならば、2日目も「1」を少し練習させてください。3日目も…。子ども達が「慣れる」まで練習させてください。
③必ず「新しい」練習を組み入れてください。
④5時限のクロール学習の計画を立てるとすれば、次のようなものです。
 
1時限目…水慣れ→クロールの手→ノーブレッシングクロール→自由練習。

2時限目…水慣れ→クロールの手→ノーブレッシングクロール→片手クロール呼吸練習→自由練習。

3時限目…水慣れ→クロールの手→ノーブレッシングクロール→片手クロール呼吸練習→片手クロール→自由練習。

4時限目…水慣れ→クロールの手→ノーブレッシングクロール→片手クロール呼吸練習→片手クロール→サメ片手クロール→自由練習。

5時限目…水慣れ→クロールの手→ノーブレッシングクロール→片手クロール呼吸練習→片手クロール→サメ片手クロール→クロール(ブル練習)→自由練習。

 「回数=慣れ」です。新しい運動に時間を多く使い、復習的な運動は短時間で行わせます。自由練習は個人成長の発見の場として有効です。

 

水泳愛好家としては、水泳を「体づくり・友達づくり・心づくり」に役立てていただければ嬉しいです。

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